当センターは、全国でも数少ない『トリチウム』(「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」の適用を受ける物質)取扱い施設であります。初代のトリチウム科学センター時代から前身の水素同位体機能研究センター、現在の水素同位体科学研究センターに至るまで、未来の発電システムである核融合炉の燃料となるトリチウムの安全扱いの基礎研究を行っており、現在は高濃度・大量トリチウムの安全取扱い技術と新しい応用技術の開発に取り組んでいます。


1.安全性への挑戦

 核融合発電にはトリチウムがどのくらい必要ですか?

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 核融合発電は重水素とトリチウムを反応させて行います。たとえば、100万kWを発電するとすれば10億キュリー程度のトリチウムを取り扱う必要があります。そのため、大量のトリチウムを安全に取り扱える技術の研究開発をしています。



2.検出限度への挑戦

 どのくらいの量を測らなくてはならないのですか?

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 従来の測定範囲をはるかに超える低濃度及び高濃度を測る必要があります。たとえば低濃度ではお米6,000sの中から特別な1個の米粒を検出することに相当します。また、高濃度の測定にも特別の問題があり、そのため制動X線測定法等について研究しています。



3.プラズマ化への挑戦

 なぜプラズマが重要なのですか?

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 核融合炉ではプラズマが必要です。しかし、トリチウムプラズマの性質はほとんど分かっていません。また、プラズマ状態にすると化学反応が非常に活発になります。従って、新しい材料の開発研究にも有効であり、トリチウムプラズマについて研究しています。



4.新しい応用への挑戦

 核融合以外にどんな使い途がありますか?

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 現在、標識化合物として医療や医薬品の開発に使われています。新しい応用として、効率が良く、かつ安全性の高い発光体等の研究をしています。